【基礎】知識講座_パーマの仕組みについて(2022)
パーマの仕組みについて解説します。1液を付けた後どのように反応するのか、ワインディング時や2剤塗布での注意するポイント、薬剤の種類や特徴など解説しながらダメージの少ない綺麗なパーマのかけ方を説明します。パーマがかかる原理やダメージが起こる原因などを理解して適切なパーマ施術を行えるようにしましょう。
解説内容
講師紹介
ALBUM
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ポイント
パーマがかかる仕組み、薬剤の種類
パーマが上手くかからない原因
ダメージになる原因
テキストで学習する
パーマの仕組みについて
パーマは「アルカリ剤」「ph」「還元剤」の3つが重要なポイントです。「アルカリ剤」はキューティクルを開いて還元剤を送り込む作用があります。「ph」は薬剤の浸透速度です。「還元剤」は毛髪の水素結合、イオン結合、シスチン(S-S)結合を切断する作用があります。
毛髪の4つの結合のうち3つを「還元剤」によって切断することができます。水素結合は薬剤塗布で切断、水に濡れると切断される性質なのでコールドパーマの場合は必ずウェットの状態でワインディングをします。イオン結合はパーマのアルカリによって髪のphがアルカリ性に傾くことで切断されます。もっとも重要なシスチン(S-S)結合は1剤の還元作用で切断されます。シスチン結合の切断をしっかり行わないとパーマがかからなかったり、髪を傷めてしまう原因になるので髪質に合った薬剤選定がとても重要です。
パーマを綺麗にかけるポイントは根元から綺麗にコーミングしパネルを均一なテンションでワインディングすることで結合をムラなく切断することが大切です。ステムがブレることなく巻き終わりまで固定し均一なテンションでぐらつかないように意識しましょう。ワインディングが綺麗でないとパーマのあたりムラになったり、仕上がりがパサついてしまったりするのでワインディングの際のコーミングは必ず綺麗に行うようにしましょう。
シスチン結合は大きく分けて2種類あります。親水性S-S結合→S-1(オルトコルテックス)と疎水性S-S結合→S-2(パラコルテックス)です。髪質によって見分ける基準は、太い髪の場合は疎水性S-S結合(パラコルテックス)、普通毛の場合はパラコルテックスとオルトコルテックスが程々に共存、細い髪の場合は親水性S-S結合(オルトコルテックス)となります。お客様のダメージや履歴によっても異なってきますが、バージン毛の方や初めてパーマをかける方、ダメージレベルが低い方はこちらを基準にすると分かりやすいです。
様々な還元剤の種類があり作用するシスチン結合の違いやカールの形成力の違いがあります。お店で使用する還元剤がどの種類でどのくらいの強さなのか、どのS-S結合に作用するのかをしっかりと把握することでお客様の髪への負担を減らし綺麗なパーマをかけることに繋がるのでしっかり覚えましょう。
パーマで綺麗なカールが作られなかったり、すぐとれてしまう原因として、根元から綺麗にコーミングできていなかったりワインディング時にステムがぶれてテンションが均一になっていないと巻き収まりが悪く仕上がりに影響が出てしまいます。綺麗にコーミングしてステムがぶれないようにしっかり固定してワインディングしましょう。またワインディング時に頭皮に対してステムがズレていると左右差が出てしまう原因になるので巻き収まりをイメージして巻く時の立ち位置にも気をつけましょう。またパネルの厚みが均一でないとカール形成にムラができてしまうので綺麗にスライスを取ること、また毛先がすかれていて毛量に差異があるような場合は均一な厚みをとるように気をつけましょう。
1剤によるダメージの原因は毛髪に対してアルカリ・phが高いことによるダメージや、髪質に対して還元剤が合っていないことが考えられます。合っていない薬剤を選定すると長時間薬剤を放置することになってしまうため髪に負担がかかりシステイン酸が生成され髪のパサつきの原因になってしまいます。1剤塗布後10分程度でチェックを行い、カールがかかっていなければ髪質に対して薬剤選定が適正ではないので先ほどの還元剤の種類の表を参考にして選定のし直しをしましょう。またワインディング時に毛先がしっかり巻き込めていなくてL字型に折れてしまっていると毛先にダメージを与えてしまうのでしっかり毛先まで丁寧に巻くように意識しましょう。またカウンセリング不足で履歴に対してオーバースペックな薬剤選定をしてしまうとチェック時に髪がざらつき仕上がりもダレてしまったりごわついてしまうので、カウンセリング時にしっかり見る・触る・聞き出す、を行うようにしましょう。
髪質に合っていない薬剤は長時間放置してもパーマはかかりません。もし間違った1剤の選定をしてしまった時はW還元という方法を行います。W還元は塗布した1剤を一旦水洗し、塗布した1剤よりアルカリ・phが高い薬剤、違う種類の還元剤を塗布する方法です。特にダメージ毛の方に最初から強い薬剤を使用してしまうとリスクが高いので最初はアルカリ・phの弱い薬剤から使用してその次に最初の薬剤より強い薬剤を使用してダメージを抑えながら施術を行うようにしましょう。
中間水洗が不足してしまうとアルカリが髪に残留してパサつきやダメージの原因となります。中間水洗を3分〜5分ほど行い薬剤の匂いが消えるくらい、もしくはクリームタイプの場合は滑りがなくなるくらいしっかり流しましょう。
2剤の塗布ムラがあるとシスチン結合の再結合が不十分となりダメージにつながります。パーマの持ちが悪かったり、スタイリングしにくい状態になってしまうので2剤も綺麗に塗布するようにしましょう。2剤には過酸化水素(アルカリ活性)とブロム酸(酸性活性)の2種類があります。過酸化水素はアルカリ活性なので反応速度が速く、5分2度づけで塗布量は多めに付けます。カラーの褪色が少ないのが特徴です。ブロム酸は酸性活性なので反応速度が遅く、浸透力も弱いため過酸化水素よりも塗布量は多めにして2度づけで15分〜20分放置します。カラーの褪色は過酸化水素より大きいです。